光のスクリーンとしての「カーテン」

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こんばんは!デザイン担当のリサです。

このブログを書く前に「カーテンって何の為にあるの?」と、ふと頭の中に過ぎりました。そう言えば2年前にデザイナーの友人に「レースって何の為のもの?」と聞かれ、答えに困ったことを思い出しました。確かに… レースとドレープはセットとして考えているけど、本当に必要なものなのだろうか?最近ヨーロッパ出張へ行く事が多いのですが、現代的なホテルでない限り、レースカーテンを見る事は極めて少ない気がします。

外の景色が美しい場合、窓枠が美しい場合には、レースカーテンは必要ないのでしょう。一方、日本のマンションのベランダの場合は必要です。
何故かと言うと住宅が密集している為、一定のプライバシーを守る事、何も無いベランダは見せるべきものとは考えにくい事。レースカーテンは、光を取り入れながら外の景色をやんわりとさせる、そんな効果があるのだろうと考えます。

そもそもカーテンって一体何なんだろう?
「カーテン」の機能的な役割は、主にプライバシーを守る為のもの、光をコントロールする為のもので、最近では高層マンション等に住む方は、外から見える心配が無いのですが、窓が大きいので遮熱の効果が求められる事が多々あります。
歴史を遡ると「カーテン」は防寒やプライバシーの為のもので、タペストリーが窓に掛けられたそうです。防寒用のタペストリーがヨーロッパを中心に「カーテン」となり、インテリアの一部としての装飾へと発展していきました。

日本のカーテンである「障子」
一方日本の歴史を辿ると「カーテン」とは障子や襖だったのではないでしょうか?
障子は、自然光を美しく室内に取り入れたり外と内の境界を曖昧にするものです。

 

弊社では、建築家の方や工務店さんからご依頼頂き、オーダーカーテンを制作しております。今回は小坂田雄介建築計画事務所様からのご依頼で制作したカーテンをご紹介させて頂きます。「カーテン」では無く「障子」の考え方で、一枚の生地を使った光のスクリーン。このお仕事を通して多くの気付きを頂きました!

小坂田さんは、2019年からご自宅のリノベーションを自身で手掛けており、最後の仕上げとして弊社にカーテンのご依頼がございました。
下の写真が完成したカーテンの写真です。ナチュラルな質感の色違い生地を5枚縫製し「一枚の光る面」として仕上げています。窓は2つに分かれていますが、レールは1本で左右の壁面いっぱいにに取付けています。窓毎にカーテンを付ける必要は無く、一つの大きな窓と考えると、お部屋が大きく見えるんです。

このカーテンは1度弊社から納品させて頂きましたが、再縫製し2度目に納品させて頂いた時の最終形のお写真。
5色の生地がグラデーションの様に連なる美しいカーテンです。

下の写真がビフォアアフターです。左右の違いが分かりますでしょうか?
各色生地のジョイント部分にご注目下さい。

ジョイント部の縫製の違いです。1度目は縫製部分が3つ巻きになっており、生地が3枚重なっております。
ビフォア写真→3つ巻き部分が影になりジョイント部分が強調されています。
アフター写真→ジョイント部分の影が無くなり、透明感が出ました。

下の写真が拡大したものです。

こちらがジョイント部の縫製の拡大写真です。左(ビフォア)はジョイント部分がくっきりと見えていますが、右(アフター)では、ジョイントは線の状態に保っています。

下の写真はアフターの更に拡大写真。通常耐久性を考えると、この様な縫製方法はしないのですが、小坂田さんにアイデアを頂きロックミシンで端処理を行ってから、一つ巻きで縫製しています。

最後にもう一度完成写真をご覧下さい。↓
何とも言えない美しさ。私はこの写真を見た時に「障子」の様だなと感じました。私たちの様にカーテンの仕事をしている人間にとっては「こうしなければいけない」が頭の中に叩き込まれてますが、建築家さんと一緒にお仕事させてもらう中での新たな挑戦や考え方は刺激になります。

少し考え方を変えるだけで広がるインテリアファブリックの世界。改めて「光」の大切さに気付く事ができました。
「布」と「光」を使って何ができるか… そんなことをぼんやり考えながら日々の仕事をしていきます。建築家の小坂田さん、本当にありがとうございました。

幸いなことに、弊社にご来店される方は「こうしたい!」と言うお考えが強いお客様が多く、日々学びだなと感謝の言葉に尽きます。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

小坂田雄介建築計画事務所へのリンク→こちら

 

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