ヨーロッパ出張報告[Vol.1]クラシック編 WATTS
先週開催したトレンドセミナーに続き、インスタライブで少しずつ注目しているブランドのお話をしております。
本コラムでは、WATTSという伝統的なイギリスのブランドをご紹介します。
WATTSとは?
1874年、イギリスにて創業したWATTS。
建築家 Bodley, Garner & Scott によって、インテリア装飾を手がけるために設立されたブランドです。
その誕生の背景には、ウィリアム・モリス が主導したアーツ・アンド・クラフツ運動の高まりがありました。19世紀後半のイギリスでは、急速な工業化による大量生産への反動として、手仕事による工芸や、本質的に美しいものを住まいに取り入れようとする価値観が広がっていきました。

Chelsea Harbor Design Center (ロンドン) ショールームにて・トリムやタッセルが入ったお宝箱
創業者はモリスと交流があったそうですが「考え方が違い仲は良くなかった」と3代目代表の Marie Chimay が笑いながら語ってくれました。
WATTSは、創業依頼シルクのダマスクや立体感のあるコットンベルベットなど、装飾性と品質を兼ね備えたファブリックを生み出してきました。
150年経った今でも、当時のアーカイブを忠実に再現した壁紙や、オーダーメイドで製作されるトリムやタッセルなど、細部に至るまで一貫した美意識が貫かれています。

Chelsea Harbor Design Center (ロンドン) ショールームにて・シルクのダマスク生地の見事なソファ
さらに時代を遡ったデザインが面白い!
2019年から、フランス中部にあるオービュッソン・タペストリー博物館とのコラボレーションによるデザインがスタートしました。
博物館が所蔵する最古のタペストリーは、15世紀にオービュッソン地方で織られたもので、主に16世紀〜18世紀のタペストリーを収蔵しております。コラボレーションにより、当時のデザインや技術が集積している芸術でもあるタペストリーを、生地や壁紙としてインテリアに取り入れる試みを行なっています。

オービュッソン・タペストリー博物館(写真出典:同博物館)
WATTSの今年のDeco Offの会場は、宮殿仕様のキングストン・バランスに豪華なタッセルが付いており、圧巻の存在感を放っていました。
クラシカル好きな私たちは、その空間とモリモリ装飾に感動。3年前にロンドンのショールームでWATTSを発見して以来、その魅力にはまり通い続けている私たち。200年以上も前に描かれたデザインを、新たな素材やインテリア装飾として提案する感覚がユニークであり、WATTSらしさでもあります。

WATTSの会場・Deco Off in 2026
右側の写真の壁紙は Yamadori (ヤマドリ)というコレクションです。これは当時のWATTSのアーカイブであり、まさにジャポネズリ!
ショールームで貴重な手描きのアーカイブを見せてもらいましたが、墨絵と水彩画、そして細やかな描写が入り混じった技法は素晴らしいの一言です。
世界中のデザイナーを虜にする魅力
世界中のデザイナーもWATTSの魅力にはまっています。唯一無二のデコラティブな生地と、モダンなインテリアとの対比が面白く、WATTSの生地が空間に入ることにより品格がぐっと上がります。
インテリアデザイナー Laura Gonzarez (フランス) がデザインしたパリのHotel Hanaでも使われていました。
いつものようにパリの気になるホテルへ視察に訪れた時、ベンチに使われている美しい生地に目を奪われました。このシルク・ランパス織の生地は1810年スペインの宮廷のためにつくられた生地との事。
日本ではあまり見ることのないパロットチューリップが美しく咲き誇っています。

Hotel Hana Paris・写真出典:WATTS
Hotel Hana Paris のコンセプトは、日本の「静けさ・余白・ミニマリズム」とフランスの「華やかさ・装飾性(ベル・エポック)」の掛け合わせ。
ホテルの至るところには日本人アーティストの作品が飾られておりました。西洋が捉える東洋感を感じることができる素晴らしいホテルなので、パリに行かれる際はぜひ立ち寄ってみて下さい。
次は、ボストン(アメリカ) Four Seasons Hotel。
コンセプトは「ボストン近郊の邸宅にゲストが招かれた時のような感覚」がテーマになっており、
目の前にあるガーデンがまるでインテリアに続くかのように、お花や木々が沢山取り入れられています。空間のアクセントとしてクッションや椅子張生地、壁紙にWATTSの生地やか壁紙が使われています。

Four Seasons, Boston・写真出典:WATTS
最後は今回の出張で訪れたレストランTIGER MILK LONDON
壁紙とファブリックを全て揃え、壁一面がウォールデコでフレームが飾られています。この壁紙やファブリックの柄は「Tree of Life」と呼ばれ、16世紀にインドから輸入され、ヨーロッパ中の貴族間で流行したデザイン。
文化ミックスにより生まれたこのスタイルがイギリスで発展し、今でも愛され続けています。 歴史的なアーカイブはどれも絵画的で美しく、当時の人々と同じように現代の私たちの心も癒してくれます。

鮮やかな色味ですが、決してケバケバしていない色使い。
歴史をリスペクトしながら、モダンな空間に合わせる試みを、私たちと同じように世界中のデザイナーが楽しんでいるのだろうと想像しています。
私たちもWATTSの生地や壁紙を取り扱っておりますので、ご興味のある方はお気軽にお問い合わせ下さいませ。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
