記憶を残し表情を変える アメリカンビンテージ椅子の張り替え
大切な方から譲り受けられたアメリカンビンテージの椅子。
どっしりと重厚感があり、革張りの座面は長年の使用で風格を感じさせる一方、ガタつきが出てきたことで「このまま使うか、思い切って買い替えるか…」とA様は迷われていました。
もともと物を大切に長く使う暮らしをされているA様にとって、この椅子は単なる家具ではなく、思い出とつながる大切な存在。簡単に手放すことはできませんでした。
そこで私たちがご提案したのは、修理を施し、さらに座面の張地を新しく変えることで椅子に新しい息を吹き込むこと。しっかりとした作りを活かしながら、現代の暮らしに合う表情へとリメイクする方向性です。
張地選びの際、A様の目に留まったのはOsborne & Littleのドット柄ベルベット。
起毛感のある上質な生地で、さまざまな色が織り込まれたデザインは遊び心がありつつも洗練された雰囲気を持っています。カーテンとの相性も良く、まさに一目惚れで即決されました。
これまでの男らしい印象から一転、インテリア性の高い華やかな椅子へと生まれ変わる瞬間です。
完成後の椅子は、当初の重厚感を残しながらも、色彩豊かな生地によって軽やかでモダンな印象に変化。
余った生地でクッションも2つ制作し、椅子とお部屋全体に統一感を加えることができました。結果として、空間全体に自然なつながりが生まれ、暮らしの中でより心地よく使える家具へと仕上がりました。
納品時、A様は「譲ってくださった方も喜んでくれると思います」と語られ、幸せそうな笑顔を見せてくださいました。
家具を残すことで人と人の想いが受け継がれ、住まいの中に温かさを広げていく――その瞬間に立ち会えたことが、私たちにとっても大きな喜びでした。
- クライアント名
- A様邸
- 施行月
- 2025年8月
PON-2188
